精神科医は治せなければ意味がない
若き日の決意と実践
精神科医になって間もない頃、身近にどうしても治したい人がいました。スキゾフレニアでした。
その思いを胸に秘めつつ、様々な文献を乱読し、考えて考えて考え抜き、精神医学や精神分析のみならず、脳神経科学、量子力学、超ひも理論、ホログラフィック理論、様相論理学、サイエンスフィクション、哲学など、ヒントになると思われる思想にジャンルを問わずのめり込みました。亡き父の「人のためになることをしなさい」という言葉が常にわたしの頭のなかにあり、三十四歳の時に最初の著作を世に問いました。
それはスキゾフレニアの構造論でした。この病の謎を解明するための礎であり、その後も幾つかの著書を出版し、セミネールやゼミを重ねながら執拗に試行錯誤を繰り返して、気づいたら三十年の時が流れていました。
そして、今ここで、ある単純なことに気づいている自分がいます。
それは《すべての精神疾患》を解明する鍵が《前頭葉にある》ということです。そして前頭葉は精神分析では《超自我の機能》に関連しています。
「たったそれだけのことか、問題は前頭葉だけではないよ」と言われるかもしれません。「そんなこと当たり前で誰でも知っている、問題はその先だよ」と一蹴されるかもしれません。
わたしが現在精神科の臨床で実践している特別な方法があります。それは量子もつれを前提とした非言語的なシニフィアンによって、前頭葉へ〈量子力学的な〉働きかけをおこない、スキゾフレニアのみならず、双極性や単極性の感情障害、自閉症、神経症を速やかに寛解もしくは治癒へと導く技法です。実際、この技法によって速やかに寛解あるいは治癒されるクライエントが多いのです。
現時点では、わたしの妄想のような話に「精神疾患が速やかに治る?そんなことできたら苦労しないよ」と疑う方が大多数だと思います。しかしながら、わたしの診療を実際に見て頂ければその事実をご確認いただけることと思います。
わたしは今年で六十八歳になります。そろそろ若い時に宣言したこと「どんなに理論が立派でも精神科医は治せなければ意味がない」ということを証明すべき年齢に差しかかっています。そして、わたしのゼミや大学の講義でもその技法と理論について詳解しているところです。
精神疾患における「治らない」という諦念を覆してゆきたいのです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年 元旦 藤田博史拝